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G.17.2.2.1 座屈解析 - 反復法

STAAD.Proでは、任意の数量の主荷重ケースに対して、座屈係数の計算機能の組み込みに、簡易的なプロシージャが採用されています。座屈係数とは、構造物の全体座屈を生じるために、ある荷重ケースで定義された荷重すべてに掛ける必要のある量です。 

  1. まず、与えられた外荷重に基づく静的線形解析によって、主要なたわみが計算されます。
  2. 主要なたわみは、メンバーの軸力とプレート中央の膜応力を計算するために使用されます。これらの力と応力は、幾何剛性項を計算するために使用されます。Largeデルタの効果とSmallデルタの効果の両方が計算されます。これらの項は、推定されたBF(座屈係数)が掛けられるKgマトリックスの項であり、全体剛性マトリックスKに加えられます。   

    座屈Kgマトリックスの効果は、フレームメンバーとプレート要素のみに対して計算されます。ソリッド要素に対しては計算されません。そのため、座屈解析は、鉛直荷重が構造物のある高さレベルから次の高さレベルにメンバーとプレート要素によって伝達される構造物に制限されます。

  3. 圧縮ケースに対しては、Kgマトリックスは負定値です。座屈係数が十分大きい場合、[ [K]+BF*[Kg] ]も負定値となり、作用荷重にBFを掛けた値は、座屈を生じるのに必要な荷重よりも大きくなります。 
  4. STAAD.Proは、BFの推定値を1.0として反復手順を開始します。そのBFで座屈を生じる場合、BFの推定値をより小さいものに更新して、次のトライアルで使用します。そのBFで座屈を生じない場合、より大きなBFの推定値を使用します。最初の反復では、Kマトリックスの行列式が正、かつK+Kgマトリックスの行列式よりも小さい場合、その荷重方向には座屈が生じません。その場合、STAAD.Proは座屈計算を行いません。   
  5. 2、3回の反復後、STAAD.Proは、座屈を生じなかった最大のBF(下界)と、座屈を生じた最小のBF(上界)を得ます。各試行では、BFの推定値として、現在のBFの上界と下界の中間の値を使用します。 
  6. デフォルト、またはユーザーの設定した反復回数MAXSTEPSの制限に達した場合、または、2つの連続するBFの推定値の差が0.1%以下になった場合、反復を終了します。
  7. この荷重ケースに対する結果は、最後に計算された下界のBFに基づいています。 
    • 主荷重ケースのみに対して解くことができます。
    • 任意数の座屈ケースを解くことができます。
    • 1次座屈モード(最小BF)のみが計算されます。
    • 座屈係数が問題ない場合でも、座屈形状が予想と異なることがあります。モード形状の結果を大きくするには、大きな変位が出ると予想される位置、方向に小さな荷重を作用させてください。 
注記: 反復法を使用した座屈解析中に、マトリックスの行列式が1つ以上のステップで符号が変化する場合は、最後に成功したステップの変位と力の結果の値が正確でない可能性があります。STAAD.Pro Advancedを使用する場合は、固有値解法を使用して座屈係数を確認することをお勧めします。